2010年9月18日土曜日

第1098回MS@相模原市

平成22年9月18日 午前6:30~ 
於:ホテルセンチュリー相模大野
参加者数:37社38名
テーマ:自社製品による提案型ビジネスへの転換
講話者:KMCコンサルティング代表
技術士・中小企業診断士 壬生捷利(みぶ・かつとし)氏

リーマンショック時に比べて20~50%売上が減少した中小製造業の比率は10カ月前で49%あり、4カ月前でも44%に達している。一方で大手製造業は技術・開発部門も含めた海外進出やEMSの活用により、国内下請企業を関与させない形で業績回復を図っている。これまで中小製造業の金城湯地であった試作ですら受注機会の減少や単価の引き下げが相次いでいる。
こうした状況に巻き込まれないためにもっとも良いと考えて、皆さまに提案しているのが「自社商品による提案型ビジネスへの取り組み」というものである。具体的には、現在の主流である「受託生産型ビジネス」に「提案型ビジネス」をミックスするものである。中核は従前のビジネスであり、こちらのウエイトを70%として、新たな提案型ビジネスを30%上乗せするものである。

取り組みに向けて
■自社の強みと弱みを知る
・当たり前と思っていることに価値がないか、「スタッフのこだわり」などインフォーマルな強みがないか
■マーケットを知る
・良いものが売れるとは限らない。製品のもたらす価値がキチンと伝わっているか、価格だけが強みでないか
■市場を選ぶ
・河岸を変えると「当たり前」が「画期的」に、「高いこと」に価値を感じてもらえることも
■技術を導入する
・取り入れる技術は市場ニーズを基準に決める。技術者(研究者)の心理にも配慮する

また、新たなビジネスへの取り組みに当たり、利用できる公的支援策を活用したい。
本年度新設された「中小企業等の研究開発力向上および実用化推進事業」(800~5,000万円、1年間、補助率1/2~2/3)を活用したい。その他にも公的支援策(専門家派遣、販路開拓支援、トライアル発注など)は数多く存在している。

最後に、提案型ビジネスを展開している機械部品加工(アルミニウムのMC加工)業者の紹介があった。この企業は自社製品として「CD(コンパクトディスク)クリーナー」を展開している。程度がまちまちな中古CDを売り物にするために整備する際に利用するものである。MC加工で培った研磨加工のノウハウを活かして、付属品・消耗品(研磨用バフ、仕上用コンパウンドなど)も併せた「ゼロックス型ビジネス」となっている。もともとはバブル崩壊後の受注激減時に取り組んだカラオケ店のレーザーディスク修復への取り組みがベースとなっている。

受託型ビジネスをメインとする企業が自社製品に取り組むには、自ら強い意志をもって始めないと前に進まない。さもなければ、競合企業の半歩先にも立てないことを認識してほしい。